非電化時代の加古川線〜サンパチ君
青郷(あおのごう)。映画“となりのトトロ”の“松郷(まつごう)”(サツキとめい達が引っ越してきた場所。小説版では“松之郷(まつのごう)”)と語感が似ている気がして、なんとなくトトロの世界のような古き良き風景を見れそうだと思い、目的地に選んだ。
午前9時30分、加古川線の粟生駅を出発。この路線は1995年の阪神淡路大震災の時に迂回路としての役割を果たしたのだが、その際に非電化ということがネックになり、電化すべしという声が高まって2004年12月19日に全線が電化された。だがこの旅の当時は非電化で、キハ47系などの気動車が走っていた。今となっては貴重な光景だ。
▲【粟生駅】この駅舎も今は建て替えられてもう無い。加古川線色の気動車に乗車。
粟生(兵庫県)9:30発
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加古川線・1329D
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西脇市(兵庫県)9:55着
▲【西脇市駅】ここで乗り換え、谷川駅へ向かう。
西脇市(兵庫県)10:02発
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加古川線・2327D
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谷川(兵庫県)10:33着
谷川駅で加古川線から福知山線に乗り換え。ここから乗車したのは113系3800番台、通称“サンパチ君”として知られる特異な車両だ。中間車に運転台を付ける改造を施し、なぜか黄色い補強版まで付けられたために珍妙な面構えとなっている。“迷”車両として人気を博したが、2008年引退。これまた今となっては貴重な経験だった。福知山駅まで約40分乗車。
▲【福知山駅】113系3800番台“サンパチ君”。
谷川(兵庫県)10:48発
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福知山線・2537M
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福知山(京都府)11:31着/11:47発
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山陰本線・1140M
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綾部(京都府)11:59着
福知山駅から山陰本線で綾部駅へ。ここで30分ほどある乗り継ぎの待ち時間をつぶしに駅周辺を散策。近くの神社へ行ってみた。境内の池の畔の桃の花が見頃。しばし春を満喫。
▲境内の“神楽池”の周りでは桃の花が見頃。
青郷駅〜渋い木造駅舎の魅力
綾部(京都府)12:33発
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舞鶴線・313M・快速「特急リレー号」
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東舞鶴(京都府)12:59着
綾部駅から舞鶴線で東舞鶴駅へ。ここから小浜線に乗車する。このとき小浜線は電化されたばかり(2003年3月15日に電化)。真新しい電車に乗車。
▲【東舞鶴駅】小浜線の真新しい車両、125系に乗車。
東舞鶴(京都府)13:04発
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小浜線・937M
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青郷(福井県)13:16着
そして京都府から福井県に入って最初の駅、目的地の青郷駅に到着。まずは駅舎の中で腹ごしらえ。綾部駅で買った駅弁で昼食。
▲【青郷駅】綾部駅で購入した駅弁。中身は何の変哲も無い幕の内。
食後に駅やその周辺を見物。駅舎は渋い木造駅舎。「トトロ」には木造駅舎は登場しなかったと思うが、同じ香りを感じる良い雰囲気の駅舎だった。思えば、この駅舎が自分の渋い木造駅舎好きを知るきっかけになったのだと思う。
▲【青郷駅】(左)駅名表示板。(右)構内。1面1線のシンプルな構造だ。
▲【青郷駅】ホームから階段を下りると木造の駅舎。時代が止まったかのような窓口。窓際の作り付けのベンチも良い雰囲気。
駅舎をじっくり見物した後周辺を散策したが、こちらはどうということはなく、里山を新興住宅地が侵食しつつある、現代日本ではよくある残念な風景。「トトロ」の世界を思わせる風景はほとんど無く、そういった意味では残念な目的地だったが、駅舎の素晴しさはそれを帳消しにしてくれたと言っても良い。これまで気付かなかった自分の嗜好が分かったし、来て良かった。
青郷駅から再び小浜線に乗って敦賀駅へ。
青郷(福井県)14:41発
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小浜線・939M
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敦賀(福井県)16:14着
▲小浜線の車窓。進行方向左手に見えた若狭湾。
敦賀駅からは北陸本線で長浜駅へ。419系“食パン電車”に乗車。寝台車を改造した“サンパチ君”と並ぶ“迷”車両で、この旅の後も何度か乗ったが、残念ながら2011年に引退した。今となってはこれまた貴重な経験だ。長浜駅からは新快速で三ノ宮駅へ。そして帰宅。
▲【敦賀駅】419系“食パン電車”に乗車。小浜線電化のヘッドマークが着いていた。
敦賀(福井県)16:54発
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北陸本線・150M
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長浜(滋賀県)17:36着/17:43発
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北陸本線〜東海道本線・3237M・新快速
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三ノ宮(兵庫県)19:36着
▲新快速の車窓。琵琶湖畔の夕暮れ。
今回の目的地の選択は、渋い木造駅舎の魅力と知らなかった自分の嗜好に気付けたという意味でなかなか成功だったといえよう。(嗜好を知らない状態で)下調べをした上での旅行だったならまず選ばなかった場所だろうし、そういう意味では下調べ無しの旅行も悪くない。
<交通費>
青春18きっぷ(1回分):2,300円
計:2,300円